2013年08月06日

停留精巣(陰睾)

停留精巣(陰睾)

オスの生殖器官である精巣のうちの一つまたは両方の精巣が出生後にも陰嚢内に降りずに、腹腔内または鼠径部の皮下にとどまったままの状態を停留精巣といいます。
多くは遺伝的な原因で発生する先天的奇形です。

発生学的には、精巣は胎生期に腎臓の後方に発生し、成長に伴い体内を下降し、出生直後には鼠径部に位置します。
その後すぐ、通常10日から14日まで、遅くとも生後1か月までには陰嚢内に下降します。

イラスト参照

精巣下降.JPG























本来精巣は精子形成や男性ホルモンを産生する器官で体温より低い温度を保つため、ラジエターの働きをする陰嚢に位置するわけですが、精巣が陰嚢内に降りずに体内や皮下にとどまると高温環境のため精子形成が阻害され、生殖能力に影響を及ぼします。

また精巣が長い期間、高温環境におかれると精巣腫瘍の発生率も高くなります。

そのためなるべく若いうちに去勢手術を行うのが望ましいです。



手術的には鼠径部の皮下に睾丸を触る場合は、皮下を切開し睾丸を摘出しますが、皮下に見つからない場合は、腎臓の後ろから鼠径部までの腹腔内のどこかに精巣がとどまっている可能性があります。
そのため開腹手術が必要となります。


陰睾.JPG



















写真は鼠径部に1個精巣がとどまっている停留精巣の症例です。
指で押し上げている部分が睾丸になります。




posted by kamiebetu at 16:12 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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