2013年07月31日

会陰ヘルニア

会陰ヘルニア

会陰ヘルニアは中高齢以降の雄に比較的多くみられる疾患で、原因は遺伝的要素、ホルモンの不均衡、解剖学的欠陥など諸説ありますが、確定はしていません。いくつかの要因が重なり合って起こるのではないかと言われています。
ただメスに比較して雄の発生が一般的で、多くは前立腺肥大を伴う未去勢雄であることから雄性ホルモンの関与も大きいと思われます。

会陰部は骨盤隔膜という複数の筋肉で構成され、直腸を支持すると共に骨盤内の臓器をしっかりと支える働きをしていますが、何らかの原因で筋肉と筋膜が薄くなったり欠損してしまうと腹腔内や骨盤内の臓器が会陰部の皮膚の下に脱出してしまい会陰ヘルニアが発生します。

会陰ヘルニア.JPG


会陰ヘルニアの症例
肛門の左横が膨れ、下にはカンマ状に彎曲した直腸が触る。さらに睾丸までの部分が膨れ、漿液も溜まっている。



筋肉群の委縮により直腸の支持が低下。会陰部に逸脱してしまうと、排便障害を引き起こします。(直腸憩室)

写真 2013-07-12 11 58 30.jpg

SURGEN Vol.1 No.5 1997 Sep.-Oct.より転載





症状としては肛門の片側、もしくは両側に腫脹があり、慢性的な便秘や、排便時のいきみが見られるとご来院されます。

治療方法としては外科的に骨盤隔膜の欠損部を閉鎖する手術を行います。(あいた穴をふさぐ)
残った筋肉を縫合し欠損を閉鎖する方法、シリコンなどの人工物を利用し閉鎖を行う方法など術式は様々です。
ただ進行した症例ではかなり欠損部も広く、筋肉の委縮の程度も酷い場合が多いので再発のリスクも高い病気となります。
同時に去勢手術も行います。


写真でも示しましたが、この子は肛門部に出来物(肛門周囲腺腫)も発生しています。
エコー検査では前立腺の軽度腫大も認められました。

肛門周囲腺腫
肛門周囲腺腫は肛門周囲にできものが出来る病気で、かなりの大きな塊となったり、複数のできものが発生することもあります。
発生には雄性ホルモン関与し、そのため去勢した個体ではこの病気の発生は殆どなく、また去勢をすることにより腫瘍のある個体でも退縮が期待できます。




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休診のお知らせ
8月13日はお盆休みを頂戴します。
11日(日)は1時までの診療、12日は休診日に当たるため、連休となります。
宜しくお願い致します。
9月はフェスティバルなどもあり休診が多くなります。既にHPには掲載しておりますが、ご理解の程よろしくお願い致します。

posted by kamiebetu at 09:19 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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